古代山陰の歴史地区

もうひとつの日本のはじまり

妻木晩田 伯耆国府 加茂岩倉 出雲大社

基本情報

🧭所在地 鳥取県・島根県

⏳時代弥生時代〜古墳時代〜律令期

📘構成資産 山陰地方に点在する古代遺跡群と、出雲大社

キーワード

出雲大社 古代出雲 青銅器 弥生時代の墳墓 ヤマト政権 古墳 律令国家 国府 古代官道 国分寺 古事記 日本書紀 日本神話

価値

地域文化が国家文化へ融合していく過程を伝える遺産群

どんな提案?

弥生時代から律令国家の成立まで。
山陰に残る文化財から、日本のもうひとつの始まりをたどります。

画像

なぜ世界遺産として提案するのか

妻木晩田遺跡

政治体制の変遷

弥生時代、出雲を中心とする山陰には、 大規模な集落や独自の墳墓、青銅器祭祀が展開していました。

やがて古墳や寺院が築かれ、 国府や官道が整備されると、 この地域は律令国家の地方社会へと組み込まれていきます。

地域の勢力から、国家の地方へ。
古代山陰は、その変化をたどることができる。

詳細(政治体制の変遷)

山陰地方、特に出雲を中心とした地域には、 弥生時代後期から古墳時代にかけて、 大規模な集落や特徴的な墳墓、青銅器祭祀などが展開していました。 これらは、この地域に独自の政治的・社会的まとまりが 存在していたことを示しています。

弥生

その後、古墳が築かれ、仏教寺院が建立されるなど、 ヤマトを中心とする政治・文化との結びつきが強まっていきます。 さらに律令制が成立すると、山陰にも国府や国分寺、 官道などが整備され、国家の地方統治を担う地域へと変化しました。

古墳律令

弥生時代の地域勢力から、古墳時代を経て、 律令国家の地方社会へ。 山陰には、地域社会がより大きな国家の枠組みに 組み込まれていく過程を示す文化財が連続して残されています。

佐太神社

宗教観の変遷

山や森、海などの自然を神聖なものとして捉える 古くからの信仰は、仏教の伝来後も失われませんでした。

神社と寺院がともに存在するようになり、 在来の信仰と新たな宗教が重なり合うことで、 日本独自の宗教文化が形成されていきます。

古い信仰は消えず、新しい信仰と重なった。
その変化が、山陰には残されている。

詳細(宗教観の変遷)

古代の山陰では、山や森、海などの自然そのものを 神聖なものとして捉える信仰が育まれていました。 出雲に伝わる神話や各地の祭祀遺跡は、 こうした古い信仰の存在を今に伝えています。

一方、古墳時代から飛鳥・奈良時代にかけて仏教が広まり、 地域の有力者による寺院建立が進みました。 さらに律令国家の成立に伴い、国分寺や国分尼寺なども 整備され、仏教は国家的な制度とも結びついていきます。

しかし、仏教の広まりによって古くからの信仰が 消滅したわけではありません。 神社と寺院が共存し、在来の神への信仰と仏教が 重なり合う宗教文化が形成されました。

神仏の併存

山陰には、古くからの祭祀・神社と、 古代の寺院・国分寺などの遺構が揃っており、 日本の宗教観が変化していく過程を読み取ることができます。

出雲大社

文化の変遷と存続

国家の仕組みや宗教観が変化する一方で、 山陰に根付いた神話や文化は失われませんでした。

『古事記』『日本書紀』『出雲国風土記』に記された神話や、 出雲大社をはじめとする信仰の場には、 古代から続く文化が形を変えながら受け継がれています。

政治も、宗教も変わっていく。
それでも、受け継がれた文化がある。

詳細(文化の変遷と存続)

山陰では、政治体制や宗教観が変化していく一方で、 地域に根付いた神話や信仰、文化が形を変えながら 受け継がれてきました。

『古事記』『日本書紀』には出雲を舞台とする 神話が記され、『出雲国風土記』には、 奈良時代の出雲の地理や社会、神々に関する記録が残されています。 これらは、中央の国家が成立する過程で、 地域固有の文化がどのように記録され、 受け継がれていったのかを考える手がかりとなります。

古書

また、出雲大社をはじめとする神社は、 古代から続く信仰の象徴として現在も存在しています。 そこには、古代の文化がそのまま保存されているのではなく、 社会や宗教の変化を受け入れながら、 現代まで受け継がれてきた文化の姿を見ることができます。

古代山陰の価値は、ひとつの時代の姿だけではありません。 政治体制、宗教観、文化が変化していく中で、 何が変わり、何が受け継がれてきたのか。 その長い変遷を、遺跡や神社、記録から読み取ることができます。

山陰には、地域で育まれた文化や信仰が、 国家への統合の中で受容・再編され、 日本文化の一部として受け継がれてきた歴史が残されています。

地域文化が国家文化へ融合していく過程を伝える遺産群。

既存の世界遺産との比較

世界遺産の古代王国と見比べることで、 古代山陰の価値が、より鮮明に浮かび上がります。画像 "クリック""タップ"で、その比較をご覧ください。

テーベ

共通点:権力と信仰が結びついた古代王国の中心地

相違点:テーベは権力と信仰が断絶したが、山陰は権力は失われるも信仰は統合後も受け継がれている

トロイア

共通点:古書にも登場する歴史の舞台

相違点:ミケーネ・ティリンスは時代ごとに異なる都市が重なる遺跡、山陰は異なる時代の過程を伝える遺跡群

アッピア街道

共通点:古代中央政権で建造された主要街道

相違点:アッピア街道はローマ帝国の支配の象徴で、古代山陰では律令国家日本に統合されたことの象徴

百済歴史地区

共通点:古代東アジアでの寺院跡や古墳群と言った歴史地区

相違点:百済は滅ぼされた王国で、古代山陰は今日でもその文化を見ることが出来る王国

次に、日本の世界遺産との比較です!同じく画像 "クリック""タップ"で、その比較をご覧ください。

百舌鳥・古市古墳群

共通点:日本特有の古墳群を含む

相違点:百舌鳥古市は大王墓で、古代山陰のものは大王に従う豪族の墓

法隆寺

共通点:日本に仏教が伝来した歴史を語る

相違点:法隆寺は中央による寺院で、山陰の寺院跡は豪族が中央に従って建造

飛鳥・藤原

共通点:日本史上初の国家形成過程

相違点:飛鳥・藤原はまさに中央、山陰はその中央に従う地方目線の統一過程

紀伊山地

共通点:神道と仏教がまじりあう日本独自の宗教観を伝える

相違点:紀伊山地は両者が混じった歴史を、山陰は混じる前の共存する歴史を語る

多くの古代王国は、滅びることで歴史となりました。 古代山陰は、統合されながら受け継がれ、「今」に残っています。 そして日本の世界遺産と比べても、その過程全体を伝える点で特異な存在です。

なぜ山陰なのか

ここまで見てきた内容が、 山陰以外でも語れるものなのかを確認してみましょう。 結論として、同様の構成を持つ地域は、山陰以外には見当たりません。

下の気になる地域をクリックタップすると、古代山陰との比較をご覧いただけます。

△と×はタップすると簡単な理由を見れますよ。

そう、山陰だけが、このすべてを同時に伝えることが出来るのです!

構成資産

続いて、この提案での構成資産の紹介です。

ただ、これはあくまでも代表例を選んだものであって、決して「これが正解!」ではないことにはご注意ください。

統合される以前

阿弥大寺古墳群

阿弥大寺古墳群

妻木晩田遺跡

妻木晩田遺跡

福市遺跡

福市遺跡

青木遺跡

青木遺跡

田和山遺跡

田和山遺跡

美保神社

美保神社

加茂岩倉遺跡

加茂岩倉遺跡

猪目洞窟遺跡

猪目洞窟遺跡

西谷墳墓群

西谷墳墓群

荒神谷遺跡

荒神谷遺跡

橋津古墳群

橋津古墳群

向山古墳群

向山古墳群

荒島古墳群

荒島古墳群

大庭鶏塚古墳

大庭鶏塚古墳

山代二子塚古墳

山代二子塚古墳

山代方墳

山代方墳

今市大念寺古墳

今市大念寺古墳

上塩冶築山古墳

上塩冶築山古墳

上塩冶地蔵山古墳

上塩冶地蔵山古墳

斎尾廃寺

斎尾廃寺跡

上淀廃寺跡

上淀廃寺跡

律令国家に統合後

伯耆国庁跡

伯耆国庁跡

伯耆国分寺

伯耆国分寺跡

法華寺畑遺跡

法華寺畑遺跡

大高野官衙遺跡

大高野官衙遺跡

佐太神社

佐太神社

出雲国府跡

出雲国府跡

出雲玉作跡

出雲玉作跡

出雲国山陰道跡

出雲国山陰道跡

出雲大社

出雲大社

×

登録基準

ここまで見てきた価値を、 世界遺産の「登録基準」に照らして整理してみましょう。 古代山陰が持つ意味が、より明確に見えてきます。

Ⅱ

東アジアとの文化交流

大陸との交流を受け入れながら形成された、山陰独自の文化

山陰では、古墳や仏教、律令制度などを通じて、 中国・朝鮮半島を経由した東アジアの文化や技術が受け入れられた。 それらは地域の伝統と結びつきながら発展し、 山陰独自の政治・宗教・文化の形成に影響を与えた。

Ⅲ

古代社会の変遷

地域の勢力から国家の地方へと移り変わる、古代社会の姿

山陰には、大規模集落や特徴的な墳墓、青銅器祭祀などに示される 地域社会の成立から、古墳や寺院の発展を経て、 国府や官道を備えた律令国家の地方社会へと変化していく過程が残されている。 これらは、古代日本における社会と政治体制の変化を示す貴重な証拠である。

Ⅳ

古代国家形成の遺産群

地域社会から中央集権国家へ向かう、歴史的段階を示す文化財群

山陰には、集落や墳墓、祭祀遺跡から、古墳、寺院、国府、官道、 国分寺などへと続く多様な文化財が残されている。 それらが地域の政治・宗教・交通の変化とともに連続して存在することで、 古代日本における国家形成の一つの重要な段階を具体的に示している。

Ⅵ

神話と信仰の伝統

古代の神話と信仰が、形を変えながら現在まで受け継がれる地域

『古事記』『日本書紀』『出雲国風土記』に記された神話や、 出雲大社をはじめとする神社では、古代から続く信仰と文化を 現在に伝えている。 政治や宗教の変化を経ても受け継がれてきたこれらの伝統は、 日本の古代文化と現在の信仰とのつながりを示している。

最後に

数々の文化財が折り重なり、 特別な物語が語り継がれてきたこの地は、 私たちがまだ知らない、 もうひとつの日本のはじまりなのかもしれません。

こんな世界遺産、あってもいいんじゃない?

古代出雲大社の空中神殿

▲ページトップに戻る

× 山陰地図
×

弥生時代

紀元前3世紀~3世紀前半

古墳時代

3世紀後半~6世紀

律令国家

7世紀~10世紀