北陸地方で新幹線の駅がある金沢市と高岡市には、オーストリアのウィーンのように、当時の繁栄を今に伝える歴史地区が残っています。 それらの歴史地区が伝えるストーリーは、世界遺産の登録基準に当てはめても違和感がなく、世界遺産になってもおかしくありません!
当てはまる登録基準
| (ⅱ)交流 | : | 近世日本の交流から整備された典型的な都市計画 |
| (ⅲ)文化・文明 | : | 地域ごとの藩政治で整備された街並み・産業の見本 |
| (ⅳ)建築・技術 | : | 近世日本での都市景観の代表例 |
| (ⅵ)伝統・宗教・芸術 | : | 近世都市が育んだ伝統工芸品や祭礼 |
それでは、この登録基準と概要で述べた内容を、詳細に紹介していきます!
そしてこれが、江戸時代の都市景観です。
1:ストーリー
(世界遺産に相応しいと考えられる理由)
●近世日本での街並みの代表例
城下町
江戸時代を代表する大都市として栄えた金沢は、金沢城を中心にまちづくりが行われた城下町です。
一般的に城下町とは、城を中心として、周辺に職種ごとの町割りが施された街を指します。 ただ、人口規模によって設置される町割りの種類も変わり、そもそも町割りの種別についても様々です。 実際、城下町の構造を類型化する研究はまだまだ確立されていません。 そんな中、金沢は設置された町割りの種類が他地域に比べても多く、人口規模も多いことから見本に相応しい都市になっています。
特に、武家町・町人町・寺町・茶屋町については、城下町時代の風景を今に伝えています。




関連する文化財:
金沢の文化的景観・長町武家屋敷跡・寺町台・卯辰山麓・東山ひがし・主計町
他にも城下町中に張り巡らされていた惣構や水路も残っています。 惣構は城下町に整備された2重の土塁と堀のことで、防衛目的で設置されました。 水路は防衛・運搬・防火・融雪など様々な役割を担っていました。 どちらも城下町を語る上で欠かせない風景です。


関連する文化財:
金沢の文化的景観・辰巳用水
人の居住地域と防御等の施設が双方残っている点が、金沢の大きな特徴と言えます。
商工業都市
一方の高岡は城下町ではなく、商工業都市としてまちづくりが行われました。
高岡は、まず主要街道沿いには商人町と職人町が設置され、町の経済を支えていました。


関連する文化財:
山町筋・金屋町
一方の郊外では、米の集積地として発展した在郷町や、町の発展に大きく貢献した寺院が今でも姿を変えずに残っています。


関連する文化財:
吉久・勝興寺
町の発展に貢献した要素が複数残っている点が、高岡の大きな特徴と言えます。
●大名による藩政の代表例
金沢と高岡の両都市は江戸時代、日本最大の石高を誇った加賀藩の領地でした。 加賀藩は金沢を城下町に、高岡を商工業都市にするためのまちづくりを指揮しました。
その拠点となったのが金沢城で、特に城下町・金沢を語る上では欠かせない存在です。
高岡城も存在しましたが、江戸時代の初期段階で城としての役割を終えました。 ただ、城の敷地は倉庫などで活用され続け、商工業都市・高岡に貢献していました。
関連する文化財:
金沢城跡・高岡城跡
そして、この城で暮らしていたのが、加賀前田家です。 彼らに関する文化財も金沢と高岡に数多く残っています。 その象徴的な存在が、大名庭園であり日本三大名園でもある「兼六園」です。 これは今さら説明は要らないでしょう。とにかく大名庭園の見本そのものです。
関連する文化財:
兼六園・成巽閣
加賀前田家の墓地についても、金沢と高岡に分布しています。 特に高岡では、藩主を祀る菩提寺・瑞龍寺も当時のまま残っており、本堂などが国宝に指定されています。


関連する文化財:
加賀藩主前田家墓所・瑞龍寺
以上の、藩の大名に関する文化財の充実度でも、金沢と高岡は目を見張るものがあります。
●近世都市から生まれた文化芸術
金沢と高岡の両都市で最も特筆すべき価値が、文化芸術です。
加賀前田家は大きな財力を軍事につぎ込むのではなく、文化芸術に投資をしていました。 その結果、世界的な評価を集める伝統的工芸品が数多く生み出される、国内有数の文化芸術の拠点となりました。
そしてこれら文化工芸が結集した生きた工芸品が高岡に残っています。 それが、高岡御車山祭りで動かされる山車です。 江戸時代の高岡の町が成立したころから続く祭りで、山車には高岡で培われた技術の粋が集められています。 その芸術的価値や歴史的価値からユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
●ストーリーまとめ
以上の内容をまとめると、以下の図のようになります。
金沢・高岡には、近世都市の景観を伝える文化財が豊富にあります。そこから生み出された工芸品の品質も考えれば、まさに世界に誇る文化財群と言えます!
2:構成遺産
全部で18の文化財を選んでいます。
| 資産名 | 種別 | |
|---|---|---|
| 1 | 金沢城跡 | 城 |
| 2 | 高岡城跡 | 城 |
| 3 | 兼六園 | 大名庭園 |
| 4 | 成巽閣 | 大名庭園/前田家関連遺産 |
| 5 | 加賀藩主前田家墓所 | 前田家関連遺産 |
| 6 | 加賀藩主前田家墓所 | 前田家関連遺産 |
| 7 | 瑞龍寺 | 前田家関連遺産/寺院 |
| 8 | 辰巳用水 | 城下町の景観/用水路 |
| 9 | 長町武家屋敷跡 | 城下町の景観/武家町 |
| 10 | 東山ひがし | 城下町の景観/茶屋町 |
| 11 | 主計町 | 城下町の景観/茶屋町 |
| 12 | 卯辰山麓 | 城下町の景観/寺町 |
| 13 | 寺町台 | 城下町の景観/寺町 |
| 14 | 金沢の文化的景観 | 城下町の景観 |
| 15 | 山町筋 | 商工業都市の景観/商家町 |
| 16 | 金屋町 | 商工業都市の景観/鋳物師町 |
| 17 | 吉久 | 商工業都市の景観/在郷町 |
| 18 | 勝興寺 | 商工業都市の景観/寺院 |
3:ギャラリー(クリックすると拡大します)
4:似ている世界遺産

ウィーンの歴史地区(オーストリア)
ヨーロッパの中心的存在だったハプスブルク家の王都として発展した歴史都市です。 国立歌劇場や市庁舎などを中心とする19世紀頃の面影を伝える歴史地区や、 16世紀に活躍したモーツァルトやベートーヴェンなどの影響から ヨーロッパの音楽・芸術文化の中心地として発展した点も評価されています。

サナアの旧市街(イエメン)
中世アラビア都市の面影を色濃く残す城塞都市です。地震が少ないことや鎖国政策だったことから、 現在でも100を超えるモスクと64のミナレット(塔)、6000棟以上に上る高層住宅、 スーク(市場)などが中世のまま残されています。

平遥の古代都市(中国)
紀元前に築かれた城壁の中に、明王朝から清王朝時代にかけての街路や役所、商店、 民家などが往時の姿をとどめています。この時代に中国各地に築かれた県城の原型が 残っている点も、金沢・高岡と似ています!
5:イラスト・イメージ図
6:作成者より
実は、この金沢と高岡の両都市は、それぞれの街が世界遺産を目指しているんです
ただ、一個人としては、二つの街が揃えば「加賀藩について」といった 重要な情報も伝えられるのに~
って、思っちゃうんですよね。
世界から見れば県とか市とかは狭いコミュニティですし。
とは言っても、このサイトはあくまでも想像です!
意味のない意見をここで書いても問題ないですよね?
ただ、世界を見渡しても木で出来た歴史地区ってほぼ無いんです。 やっぱり燃えやすいとか、いろんな理由があると思います。 だからこそ、「木」で出来た歴史地区が残っていることに大きな価値があります。 その中でも特に情報量が多い街が、金沢と高岡です。 そんな「木」で出来た歴史地区の景観を、豊富な情報量で世界遺産として後世に残すことは、 すごく意味があることだと私は思っています!
7:参考文献・サイトリスト
- 石川県立歴史博物館『石川県立歴史博物館 展示案内』能登印刷株式会社(2018年)
- 世界遺産検定事務局『すべてがわかる世界遺産大事典<上>』株式会社マイナビ出版(2016年)
- 世界遺産検定事務局『すべてがわかる世界遺産大事典<下>』株式会社マイナビ出版(2016年)
- KOGEI JAPAN https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/
- 文化庁 https://www.bunka.go.jp/index.html
- 石川県に世界遺産を http://www.kanazawa-hakusan.com/
- 加賀友禅 http://www.kagayuzen.or.jp/know/
- 金沢市立安江金箔工芸館 https://www.kanazawa-museum.jp/kinpaku/index.html
- 金沢市ホームページ/世界遺産 金沢の提案 https://digilib.city.kanazawa.ishikawa.jp/doc/73/
- とやまの文化遺産 https://toyama-bunkaisan.jp
- 日本遺産ポータブルサイト/加賀前田家ゆかりの町人文化が花開くまち高岡 https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story003/
- 日本遺産ポータブルサイト/荒波を越えた男たちの夢を紡いだ異空間 https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story039/
- ほっと石川旅ねっと https://www.hot-ishikawa.jp/
- 高岡市観光ポータブルサイト たかおか道しるべ https://www.takaoka.or.jp/
- 高岡市ホームページ https://www.city.takaoka.toyama.jp/index.html
- 高岡銅器展示館 https://www.takaokadouki.net/










